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原因がわからない腰痛のほうが多いって本当?

2019年07月26日
お腹を抑える男性

腰痛は、腰椎が直接障害を受ける圧迫骨折や、脊髄を流れる中枢神経を椎間板が圧迫することによる椎間板ヘルニア、細菌感染による脊髄炎等の他にがんが脊椎に転移するなどによって発症します。
腰椎が直接障害を受ける圧迫骨折の原因には骨粗しょう症や脊髄炎では細菌感染などといったように原因が特定されているものもあります。

他方で、確かに腰痛に悩まされる人は数が多いわけですが、実は患者の85%は原因が良く分かっていません。
レントゲンなどの画像診断でも異常が特定できない腰痛の場合、原因の特定は困難になります。
このような原因を特定できない腰痛は「非特異的腰痛」と呼ばれています。

非特異的腰痛は要因として、心の問題としてストレスにさらされる日常生活や、肥満や運動不足などの生活習慣が関与していると考えられているのです。
これは脳内の神経伝達物質の変化の研究に中で明らかにされつつあります。
脳内では快感などの報酬的感覚を与えるドーパミンが分泌されていますが、ストレスが継続してかかるとドーパミンの分泌量が減少することになる訳です。
ところでドーパミンには痛覚をやわらげる作用も持っているので、ドーパミンが減少すると痛みを感じやすくなります。

さらにドーパミンの減少のあおりを受けて、セロトニンの分泌量でも減少が見られます。
セロトニンは自律神経を調節する作用を持っているので、セロトニンが減少すると自律神経の中でも交感神経が活性化されるのです。
その結果血管が収縮し、筋肉に痛みの原因物質がとどまりやすくなり、この面からも腰痛を引き起こしやすくなる訳です。

また運動不足による肥満は、増加した体重でも身体を支えようとして、腰椎への負担を強める傾向があります。
脊椎はなだらかなS字状カーブを描いていますが、肥満によってこの姿勢を維持するのが困難になるので、腰痛に繋がると推定されているのです。
ただこれらの非特異性腰痛は画像上明確な変化が見られないので、原因を特定するのが困難と言うわけです。

腰痛や足のしびれも出る腰椎すべり症とは

原因が特定されている腰痛の代表的な病気に、腰椎すべり症があります。
この病気は5つ並んでいる腰椎のいずれかが、文字通り定位置からずれてしまっている状態です。
腰椎すべり症は、椎骨や椎間板の変性による「変性すべり症」と腰椎分離症に続発する「分離すべり症」に大別されています。

変性すべり症の直接原因は明確ではありませんが、多くは加齢によって椎間板や靱帯、関節など腰椎を固定する組織が変性をきたし、腰椎の安定性を欠いてその位置がずれてしまう状態です。
廊下が大きく関与しているので高齢の女性に多い傾向が見られます。

分離すべり症では、ずれの程度にもよりますが、坐骨神経痛や腰痛が症状があります。
ずれが悪化してくると、脊髄神経が圧迫され痛みに加えて、下半身に痺れなども出現するようになります。
特徴的な症状として、長時間歩くと痛みやしびれが出現し、かがむと症状が軽減する「間欠性跛行」がみられます。
最終的には脊髄神経の圧迫をともなうので、変性すべり症でも症状の傾向はあまり変わりません。

腰椎すべり症と診断されると、まず保存的治療が行われます。
コルセットを着用することで腰への負担を軽減し、同時に消炎鎮痛剤の服用や神経ブロック注射などで症状の緩和を試みます。
リハビリとしてストレッチや腹筋を中心に筋力を増強する訓練が行なわれるわけです。
保存的治療でも効果が芳しくなく症状をコントロールできないときや、麻痺が進行するようであれば手術療法が選択されるのです。

代表的な手術は固定術と呼ばれるもので、骨を削ることで神経の通り道を広げて、脊椎を正常な位置に金属や自分の骨で固定する手術になります。
術後も安定するまでに時間がかかり、コルセットによる固定なども必要です。